緊急性の高い症状

次のような症状は、病名を調べてから判断するのではなく、できるだけ早く鳥を診られる動物病院へ連絡したい状態です。記録や持ち物の準備に時間をかけて、受診を遅らせないでください。

  • 呼吸が明らかに苦しそう
    安静時の開口呼吸、首を伸ばした呼吸、呼吸に合わせた尾の大きな上下、強い呼吸音など
  • 意識や神経に異常がある
    けいれん、意識が鈍い、立てない、何度も転倒する、首が大きく傾く、麻痺など
  • 出血や大きなけががある
    圧迫しても止まらない出血、猫や犬による咬傷、衝突、踏みつけ、骨折が疑われる状態など
  • 食べられず衰弱している
    ほとんど食べない、フンが明らかに減る、急な体重減少、羽を膨らませて動かないなど
  • 産卵トラブルが疑われる
    いきみ続ける、腹部が膨らむ、足を広げてケージの底にいる、呼吸が苦しいなど
  • 中毒や誤食が疑われる
    有害な煙、薬品、金属、植物、薬、人の食べ物などを吸い込んだり口にしたりした可能性がある場合。症状がまだ見られなくても、自己判断で様子を見ず病院へ連絡します。

受診前の連絡や通院準備について詳しく知りたい場合は

インコの病気:インコさんを病院へ連れて行くには?」 で詳しく紹介しています。

症状から受診の目安を確認しよう

インコさんの症状だけから、原因となる病気を特定することはできません。同じように見える症状でも、感染症、内臓疾患、中毒、外傷、栄養状態、発情、加齢など、さまざまな原因が関係する可能性があります。
このページは病名を自己判断するためではなく、普段との違いを整理し、受診の必要性を考えるための参考としてご覧ください。

食欲不振・体重減少

食べる量が減っている、好きなものにも反応しない、体重が急に減っている場合は注意が必要です。 小さな鳥さんにとって、食べられない状態が続くことは大きな負担になります。 シードの殻が残っていれば、食べた形跡ではありますが、それだけで十分な量を食べているとは判断できません。 殻を取り除き、中身のあるシードがどのくらい減っているか、食欲、体重、フンの量とあわせて確認しましょう。
食欲、体重、フンの量をあわせて確認しましょう。 食べない状態が続く場合や、体重が大きく減っている場合は、早めに鳥を診られる病院へ相談してください。

呼吸異常

安静にしているのに口を開けて呼吸する、呼吸に合わせて尾が大きく上下する、胸部の動きが大きい、呼吸音がする場合は、呼吸が苦しい可能性があります。呼吸異常は緊急性が高いことがあるため、撮影や保温を続ける前に病院へ連絡してください。
動画を撮る場合も、インコさんを動かしたり、捕まえたり、受診を遅らせたりしないようにします。

尾羽呼吸や開口呼吸などの注意点について詳しく知りたい場合は

インコの病気:インコさんの呼吸異常」 で詳しく紹介しています。

フンの異常

フンの色や量、水分量、形が普段と大きく違う場合は、体調の変化を知る手がかりになります。 水っぽい状態が続く、極端に少ない、血が混じっているように見える、未消化のものが混じっているなどの場合は注意が必要です。
食べたものによって一時的に色が変わることもありますが、普段と違う状態が続く場合は、早めに病院へ相談しましょう。 底紙やペットシーツの写真を撮っておくと、受診時に状態を伝えやすくなります。

フンの変化から健康状態を見守るポイントについて詳しく知りたい場合は

インコの病気:インコさんのフンの見方」 で詳しく紹介しています。

羽や皮膚の異常

羽が極端に抜ける、地肌が見える、羽が変形している、体を強くかゆがる、皮膚に赤みや傷がある場合は、換羽や成長による変化だけではない可能性があります。 毛引き、皮膚のトラブル、感染症、栄養状態などが関係することもあります。 羽や皮膚の異常は、見た目だけでは原因を判断しにくいことがあります。 長く続く場合や、出血・傷・元気の低下がある場合は、鳥を診られる病院へ相談してください。

神経症状・歩行異常

止まり木にうまく止まれない、何度も落ちる、足を引きずる、片足を上げたままにしている、首の向きがおかしい、ふらつくなどの症状がある場合は注意が必要です。 怪我、神経の異常、内臓疾患、栄養状態、加齢など、さまざまな原因が考えられます。 無理に足や羽を動かして確認しようとせず、まずは低い位置で安全に休めるようにしましょう。 転落を繰り返す場合や、立っていられない様子がある場合は、早めに病院へ相談してください。

嘔吐・過剰な吐き戻し

頭を振って食べ物や液体を周囲へ飛ばす、顔や頭の羽が汚れる、何度も吐く場合は注意が必要です。発情に伴う吐き戻しに見えても、回数が増えた、元気や食欲が低下した、体重が減ったなどの変化がある場合は、消化器だけでなく全身の病気が関係している可能性があります。
無理に水や食べ物を与えず、吐いた物、回数、食事との関係を記録して病院へ相談しましょう。

目・鼻・声の変化

目を閉じたままにする、腫れ、赤み、涙、鼻水、鼻孔の汚れ、くしゃみの増加、声のかすれなども体調不良の手がかりになります。目だけの異常に見えても、呼吸器疾患や全身の病気が関係する場合があります。
分泌物を人用の目薬や消毒液で処置せず、症状が続く場合や呼吸異常を伴う場合は病院へ相談してください。

腹部・総排泄腔の異常

腹部が膨らむ、何度もいきむ、フンが出にくい、総排泄腔から組織が出ている場合は、早急な対応が必要になることがあります。産卵トラブル、臓器の腫れ、腫瘤、体腔内の液体貯留など、複数の原因が考えられます。
お腹を押したり、出ている組織や卵を家庭で戻そうとしたりせず、鳥を診られる病院へ連絡してください。

出血・外傷

出血、腫れ、翼や足の向きの異常、くちばしの亀裂、猫や犬との接触などがある場合は、見た目が軽くても注意が必要です。羽毛の下に傷が隠れていることや、内部で損傷していることがあります。
猫や犬にかまれたり引っかかれたりした場合は、傷が小さくても早急に病院へ相談してください。

出血や外傷の応急対応について詳しく知りたい場合は

インコの病気:インコさんが怪我をした場合の応急処置」 で詳しく紹介しています。

症状だけで病名を決めない

同じ症状でも、原因はひとつとは限りません。 食欲・フン・体重・呼吸・行動などを合わせて確認し、不安な変化が続く場合は自己判断せず、鳥を診られる病院へ相談しましょう。

関連する原因の種類を知ろう

インコさんの体調不良には、感染症、内臓疾患、腫瘍、中毒、栄養状態、発情に関係するトラブルなど、さまざまな原因が関係する可能性があります。同じ症状でも原因はひとつとは限らず、症状だけで病名を決めることはできません。
ここでは、受診時に変化を整理して伝えるための参考として、関連することがある原因の種類を紹介します。すべての原因を網羅するものではなく、実際の判断には獣医師による診察や検査が必要です。

感染症・寄生虫

感染症には、細菌、真菌、ウイルスなどが関係するものがあります。また、ダニなどの寄生虫が皮膚やくちばし、足へ異常を起こすこともあります。
例として、AGY症(鳥類胃酵母症・通称メガバクテリア症)、細菌感染症、PBFD、ポリオーマウイルス感染症、オウム病、疥癬などがあります。 症状だけでは区別できず、便検査、血液検査、遺伝子検査などが必要になる場合があります。

腫瘍・臓器の病気

肝臓、腎臓、生殖器、消化器などの病気や腫瘍では、体重、食欲、フン、呼吸、歩き方、腹部の大きさなどに変化が現れることがあります。
セキセイインコでは精巣腫瘍などが知られていますが、体色や歩き方だけで腫瘍と判断することはできません。診察や画像検査などによる確認が必要です。

栄養・代謝・生活環境に関係する問題

偏った食事、過剰なエネルギー摂取、運動不足、発情が続く生活環境などが、肥満、肝疾患、栄養障害、産卵トラブルなどに関係する場合があります。
ただし、食事や環境だけが原因とは限りません。自己判断で急激な食事制限やサプリメントの追加を行わず、体重と健康状態を確認しながら獣医師へ相談しましょう。

加齢に伴って見られる病気

年齢を重ねると、腫瘍、関節の問題、白内障、心臓・肝臓・腎臓の病気、痛風などが見られることがあります。 動かなくなった、眠る時間が増えた、止まり木へ止まりにくいといった変化を、年齢だけのためと決めつけず、生活へ影響している場合は病院へ相談しましょう。

メス特有の病気

メスのインコさんでは、発情や産卵に関係するトラブルが起こることがあります。 卵詰まり(卵秘)、卵管炎、卵管脱・総排泄腔脱などは、早めの対応が必要になることがあります。 お腹が膨らんでいる、何度もいきむ、フンが少ない・大きい、元気がない、ケージの底でじっとしているなどの様子がある場合は注意が必要です。 卵に関係するトラブルは急に悪化することもあるため、早めに鳥を診られる病院へ相談しましょう。

症状と関連することがある原因の例

次の内容は診断表ではありません。同じ症状が複数の病気で見られるため、実際の原因は鳥を診られる獣医師が診察や検査を通して判断します。

食欲低下・体重減少 感染症、消化器疾患、肝臓・腎臓などの臓器疾患、腫瘍、中毒、痛み、強いストレスなど
呼吸異常 上部・下部呼吸器の病気、真菌感染、心臓の病気、貧血、腹部の腫れや卵による圧迫など
フンの異常 食事の影響、消化器疾患、感染症、肝臓・腎臓の病気、中毒、食事量の低下など
羽・皮膚の異常 換羽、栄養状態、皮膚疾患、寄生虫、感染症、PBFD、毛引き、自咬など
腹部の膨らみ・いきみ 卵詰まりなどの生殖器疾患、臓器の腫れ、腫瘍、体腔内の液体貯留、肥満など
ふらつき・転落 外傷、神経疾患、中毒、低血糖、栄養・代謝異常、臓器疾患、腫瘍など

症状だけで病名は決められない

同じ症状でも原因はさまざまです。 感染症・腫瘍・栄養状態・発情トラブルなどが関係することがあります。 気になる変化が続く場合は、自己判断をせず鳥を診られる病院へ相談しましょう。