病気を隠す習性を知ろう
インコさんは、体調が悪くても普段どおりに見せようとすることがあります。「鳴いている」「止まり木にいる」「食器へ顔を入れている」という様子だけでは、健康だと判断できません。
食欲、フン、体重、呼吸、鳴き声、姿勢、活動量などを普段の状態と比較し、小さな違いに気付くことが大切です。
見た目だけで判断しない
野生下では、弱っている様子を見せると外敵に狙われやすくなります。そのため、飼育されているインコさんも体調不良を隠すことがあります。
シードを食べているように見えても、食器に殻だけが増え、実際には十分に食べられていない場合があります。食べる動作だけでなく、体重とフンの量も確認しましょう。
普段の基準を記録しておく
体調不良を早く発見するためには、健康なときの状態を知っておく必要があります。体重は、なるべく同じ時間・同じ条件で定期的に測定します。
- 普段の体重と一日の変動
- 一日に食べる量と飲水量
- フンの個数・大きさ・色・水分
- 普段の鳴き声と活動する時間帯
- 止まり方や歩き方
- 呼吸時の胸や尾の動き
飼い主さんの「いつもと違う」は大切な情報です
検査をしなければ原因を特定できない場合でも、普段の状態を知っている飼い主さんの気付きは重要です。 いつから、何が、どの程度変わったかを記録して、受診時に獣医師へ伝えましょう。
体調不良のサインを確認しよう
体調不良のサインは、羽毛、食事、フン、呼吸、行動など、さまざまなところに現れます。ひとつの症状だけで病名を判断せず、複数の変化を合わせて確認しましょう。
| 姿勢・羽毛 | 羽を膨らませたまま動かない、うずくまる、翼が下がる、羽繕いをしなくなる、ケージの底にいるなど |
|---|---|
| 食欲・飲水 | 食べる量が減る、まったく食べない、食べこぼしが増える、飲水量が急に増える・減るなど |
| 体重 | 普段の変動範囲を超えて減る、短期間で急に増える、お腹が膨らむ、胸の骨が目立つなど |
| フン | 個数や量が減る、水分が急に増える、便の形がなくなる、赤色・黒色・黄色など普段と異なる色が続くなど |
| 呼吸 | 安静時の開口呼吸、尾の大きな上下、呼吸音、くしゃみの増加、鼻水、声質の変化など |
| 消化器 | 嘔吐、過剰な吐き戻し、顔や頭の羽毛へ吐物が付く、未消化の食べ物がフンに混じるなど |
| 行動・神経 | 眠る時間が増える、反応が鈍い、急におとなしくなる、ふらつく、首が傾く、旋回する、けいれんするなど |
| 目・鼻・口 | 目を閉じたままにする、腫れ、赤み、目や鼻からの分泌物、口の中の腫れや異物など |
| 足・翼・皮膚 | 止まり木に止まれない、足を引きずる、翼が下がる、腫れ、出血、傷、しこりなど |
| 産卵に関する変化 | いきむ、足を広げてうずくまる、腹部が膨らむ、呼吸が苦しそう、フンが出にくい、止まり木に止まれないなど |
フンの見方について詳しく知りたい場合は
「インコの病気:インコさんのフンの見方」 で詳しく紹介しています。
眠いときや寒いときとの違い
休息中や一時的に寒さを感じたときにも、羽を膨らませることがあります。 ただし、暖かい場所でも膨らんだまま動かない、目を閉じ続ける、食べない、フンが減るなど、ほかの変化を伴う場合は体調不良を疑います。
緊急受診が必要な症状
呼吸困難、意識や神経の異常、止まらない出血などは、時間帯を問わず動物病院へ連絡したい症状です。受け入れ可能か電話で確認し、移動方法の指示を受けてください。
- 呼吸が明らかに苦しそう
安静にしているのに口を開けて呼吸する、首を伸ばして呼吸する、呼吸に合わせて尾を大きく上下させる、強い呼吸音がある場合 - 意識や神経に異常がある
けいれん、意識がない、反応が極端に鈍い、立てない、何度も転倒する、首が大きく傾く、麻痺が見られる場合 - 出血や大きなけががある
圧迫しても出血が止まらない、大量に出血している、猫や犬にかまれた、強く衝突した、骨折が疑われる場合 - 中毒や有害ガスへの影響が疑われる
加熱したフッ素樹脂製品の煙、焦げた調理器具、殺虫剤、スプレー、薬品、重金属、有害な食べ物などへ触れた可能性がある場合 - 自力で食べられない・飲み込めない
まったく食べない、飲み込めない、繰り返し嘔吐する、フンがほとんど出ていない状態に、元気消失や体重減少が伴う場合 - 産卵トラブルが疑われる
いきみ続ける、腹部が膨らむ、足を広げてケージの底にいる、呼吸が苦しい、止まり木に止まれない場合 - 急激に状態が悪化している
短時間で反応が鈍くなる、身体が冷たい、ケージの底で動けないなど、明らかに悪化している場合
症状の継続時間だけで判断しない
「半日続いたら」「一日食べなかったら」など、時間だけで受診を決めることはできません。 症状の種類、重さ、鳥種、年齢、持病によって緊急性が異なります。呼吸困難やけいれん、出血などでは様子を見ず、すぐに病院へ連絡しましょう。
病院へ行くまでの対応
家庭での対応は治療ではなく、診察を受けるまでインコさんの負担を減らすための応急対応です。病院への連絡を先延ばしにせず、獣医師の指示を受けながら静かに移動の準備をします。
- 静かに休ませる
放鳥、水浴び、運動、長時間のスキンシップを中止し、人の出入りや大きな音が少ない場所で休ませます。 - 移動しやすい環境へ整える
ふらつきや転落がある場合は、高い止まり木を外すか低くし、底へ清潔な紙やタオルを敷きます。糸へ爪が絡まない素材を使用してください。 - 必要な場合だけ穏やかに保温する
羽を膨らませ、身体が冷たく、寒そうにしている場合は、ケースの片側を外側から穏やかに温めます。インコさんが暑ければ熱源から離れられるようにし、呼吸や姿勢を観察します。 - 食事と水を近くへ置く
インコさんが自力で飲食できる場合は、普段の食事と水を移動せず届く位置へ置きます。食べ慣れていない食事へ急に変更しないようにします。 - できるだけ触らない
呼吸が苦しい鳥や衰弱したインコさんを追い回したり、長時間保定したりすると状態が悪化することがあります。必要以上の捕獲や撮影を避けます。
すべての不調で保温するわけではありません
保温は、寒そうにしている鳥や体温が低下したインコさんの負担を減らす場合がありますが、開口呼吸、翼を身体から離す、身体が熱い、暑い環境にいたなどの場合は、加温によって状態が悪化する可能性があります。 呼吸異常や熱中症が疑われる場合は自己判断で強く温めず、病院へ連絡してください。
してはいけない対応
誤嚥や中毒、診断の遅れにつながるため、自己判断による給餌や投薬は行わないでください。
- くちばしへ水や食べ物を流し込む
- 人用の薬を与える
- 以前処方された残りの薬を使う
- 自己判断で抗生物質やサプリメントを与える
- 中毒物質を吐かせようとする
- 呼吸が苦しいインコさんを長時間保定する
- 診察前に無理な強制給餌をする
- 回復したように見えたことだけで受診を中止する
応急対応は病院までの橋渡しです
安静や必要に応じた保温は、原因となる病気を治すものではありません。 一時的に元気そうに見えても、体調不良が疑われる場合は鳥を診られる動物病院へ相談しましょう。
受診前に記録・準備すること
いつから何が変わったかを記録し、普段との違いを獣医師へ伝えられるようにします。ただし、緊急症状がある場合は、記録や準備に時間をかけて受診を遅らせないでください。
- 症状が始まった日時を記録する
最初に異変へ気付いた日時、その後の変化、食事や投薬との関係を記録します。 - 体重と食事量を記録する
最近の体重記録、食べた量、飲水量、最後に食べた時刻など、分かる範囲でまとめます。 - フンや症状を撮影する
フン、呼吸、ふらつき、嘔吐などを安全な距離から撮影します。撮影のためにインコさんを動かしたり、受診を遅らせたりしないでください。 - 食事・薬・事故の情報を用意する
普段与えている食事やサプリメント、使用中の薬、かじった可能性のある物、吸い込んだ可能性のある煙やスプレー、触れた可能性のある薬品などを伝えます。製品のパッケージや写真も役立ちます。 - 病院へ事前に電話する
鳥を診療できるか、現在の症状へ対応できるか、受診時間と移動方法を確認します。夜間は鳥の診療に対応できない病院もあります。 - 安全なキャリーを準備する
扉と留め具を確認し、ふらつく鳥では低い止まり木または止まり木なしの状態にします。移動中も呼吸と姿勢を確認できるようにします。
病院選びや受診準備について詳しく知りたい場合は
「インコの病気:インコさんを病院へ連れて行くには?」 で詳しく紹介しています。
迷ったときは早めに相談しましょう
鳥の病気は、症状だけで原因や重症度を判断できないことがあります。 「少し変かもしれない」という段階でも、普段との違いが続く場合や飼い主さんが不安を感じる場合は、鳥を診られる動物病院へ相談してください。



