手乗りインコの育て方で大切なのは信頼関係
手乗りとは、インコさんをつかんで手へ乗せることではなく、自分から人の手を安全な止まり場所として選べる状態です。手に乗ることだけを信頼関係の基準にせず、飼い主さんの近くで落ち着く、呼びかけに反応する、止まり木で移動できるといった変化も大切にしましょう。
- 無理に触らず安心できる距離を保つ
まずは「手は怖くない」と感じてもらうことが大切です。いきなりつかんだり追いかけたりせず、ケージの外から優しく声をかけたり、近くで静かに過ごしたりして、人の存在に慣れてもらいましょう。 - インコさんのペースに合わせる
手に乗るまでの時間には個体差があります。すぐに慣れる子もいれば、数週間から数か月以上かけて反応が変わる子もいます。日数を目標にせず、現在の段階で落ち着いていられることを確認してから進みます。 - 手以外の移動方法も練習する
手より腕や止まり木を好む子もいます。手へ乗ることが難しくても、止まり木を使って安全に移動できれば、放鳥後や緊急時の管理に役立ちます。
手乗りにならなくても失敗ではありません
すべてのインコさんが人の手に触れられることを好むわけではありません。その子が安心できる距離を尊重しながら、健康管理や移動に必要な協力行動を少しずつ練習しましょう。
インコが手を怖がるサイン
手に慣れてもらうためには、近づけることよりも「これ以上近づくと怖がる」という距離を見つけることが重要です。一つの動作だけで判断せず、姿勢、呼吸、動き、食べられるかどうかを合わせて観察しましょう。
- 手から身体や頭を遠ざける
- 止まり木の反対側へ移動する
- 身体を細くして動かなくなる
- 羽を身体へ強く密着させる
- 呼吸や身体の動きが速くなる
- ケージ内を逃げ回る
- くちばしを開けて手へ向ける
- 首を伸ばして突こうとする
- 好物を見せても食べられない
- 普段行う羽繕いや食事をやめる
動かないことを「慣れた」と判断しない
強い恐怖によって身体が固まり、動けなくなっている場合があります。手が近くにあっても普段どおりに食べる、羽繕いをする、周囲を見るといった行動ができる距離から始めましょう。
手乗りインコになるまでの練習|STEP1~6
今のSTEPで怖がらず、自分から行動できるようになったら、次のSTEPへ進みます。練習を始めてからの日数で判断する必要はありません。嫌がったり逃げたりした場合は、無理に続けず、一つ前のSTEPへ戻りましょう。
人が近くにいても
普段どおり過ごせる
ケージ越しに
手からおやつを受け取る
自分から
扉の近くへ来る
手に持った止まり木へ
自分から乗る
指や手に
片足を乗せる
両足で手に乗り
落ち着いていられる
STEP 1人がいることに慣れてもらう
まずは、人が近くにいても安心して過ごせるようになることを目指します。インコさんが普段どおりに食べたり休んだりできる距離で、静かに過ごしましょう。正面から見つめ続けたり、急に手を伸ばしたりせず、落ち着いた声で話しかけます。
お迎え直後は、手乗りの練習よりも、新しい部屋やケージに慣れてもらうことが大切です。食欲、フン、体重、動きなどを確認し、落ち着いてから練習を始めましょう。
STEP 2人の手からおやつを受け取ってもらう
インコさんが特に好きな食べ物を、練習用のおやつとして少量使います。最初はケージ越しに差し出し、自分から近づいて受け取れたら、優しく褒めましょう。
- おやつを取りに来るまで追いかけない
- 怖がったら、すぐに手を離す
- 受け取ったあとは手を引いて休ませる
- 一口で食べられる小さな量を使う
- 主食を減らして空腹にしない
- 一日に与えるおやつの量を決めておく
STEP 3ケージの扉付近に慣れてもらう
扉を開けても落ち着いていられるようになったら、扉の近くでおやつを与えます。手をケージの奥まで入れたり、手で追いかけたりせず、インコさんが自分から扉へ近づくのを待ちましょう。
練習を始める前に、窓や部屋のドアが閉まっていることを確認してください。驚いてケージの外へ飛び出すこともあるため、安全な環境を整えてから扉を開けましょう。放鳥時の安全対策は「インコさんの放鳥について」も参考にしてください。
STEP 4手に持った止まり木へ乗ってもらう
手を強く怖がる場合は、いきなり指へ乗せようとせず、慣れている止まり木を使います。インコさんが足を伸ばせば乗れる位置に、止まり木をゆっくり差し出しましょう。胸へ押しつけて乗せようとしてはいけません。止まり木を見る、近づく、片足を乗せるなど、少しでも進んだら褒めましょう。
STEP 5手に片足を乗せてもらう
インコさんの足元に、片方の手を止まり木のように差し出します。もう片方の手でおやつを持ち、鳥から見て、差し出した手の少し先に見せましょう。インコさんがおやつを取ろうとして手に片足を乗せたら、すぐにおやつを渡して褒めます。
最初は両足を乗せられなくても、片足を乗せられれば成功です。手を胸へ押しつけたり、指で足を持ち上げたりしないでください。
STEP 6両足で手に乗ってもらう
片足を乗せることに慣れたら、おやつを少し先へ動かし、もう片方の足も手に乗るように誘います。両足が手に乗ったら、すぐにおやつを渡して褒めましょう。最初は手を動かさず、インコさんが元の止まり木へすぐ戻れるようにします。
両足で落ち着いて乗れるようになってから、手を数センチ動かす、短い距離を移動するなどの練習へ進みましょう。
「乗って」と「降りて」をセットで練習する
手へ乗る練習と同時に、止まり木やケージへ自分から戻る練習も行います。降りる場所へ手を近づけ、インコさんが自分から移れたら褒めましょう。
手に乗ったあとで希望する場所へ戻れない経験が続くと、手へ乗ることを避けるようになる場合があります。「乗って」と「降りて」のどちらにもよい結果があるようにします。
短時間で気持ちよく終える
練習は落ち着いている時間に短時間だけ行い、成功できたところで終了します。ご褒美は食べ物だけでなく、優しい声、好きなおもちゃ、行きたい場所へ移動することなど、その子が喜ぶものを利用できます。
- 落ち着いている時間に行う
- 一回の練習を短時間にする
- 成功したところで終える
- 嫌がったら前の段階へ戻る
- 家族で合図や対応を統一する
- 体調が悪い日は練習を休む
肩へ乗せるのは基本練習ができてから
手や止まり木へ落ち着いて乗り降りできない段階で肩へ乗せると、ケージへ戻すときにつかまえる必要が生じたり、顔や耳を噛まれたりする危険があります。「乗って」と「降りて」ができるようになってから、肩へ乗せるか検討しましょう。
ヒナ・若鳥を手乗りにするときの注意
若い鳥は新しい経験を受け入れやすい傾向がありますが、手乗り練習よりも保温、食事、体重管理、休息を優先します。羽が生えそろっていない、または一羽で十分に食べられないヒナでは、健康管理が最優先です。
- 健康な状態で短時間だけ触れ合う
ひとり餌へ移行済みで健康な若鳥でも、長時間手の上で過ごさせる必要はありません。声をかけながら手を提示し、自分から近づく、短時間乗る、止まり木へ戻るといった穏やかな経験を重ねましょう。 - 手の上で怖い経験をさせない
手の上では急に動かさず、安定した姿勢を保ちます。おやつや好きな遊びと組み合わせることで、手に乗ることをよい経験として覚えることがあります。 - 疲れているときは休ませる
目を閉じる、反応が弱くなる、落ち着かず移動し続けるなどの変化があれば、練習を終了して静かに休ませます。 - 挿し餌が必要な場合は直接指導を受ける
まだ挿し餌が必要なヒナを迎えた場合は自己流で行わず1人餌もできる若鳥になってからがおすすめです。少し早めに始めたい場合は購入元と鳥を診られる獣医師から、温度、濃度、量、回数、衛生管理、体重確認について直接指導を受けてください。
ヒナのお迎えや保温・さし餌については
「インコの育て方:インコのヒナ(雛)の育て方」 で詳しく紹介しています。
手乗りにするために挿し餌をする必要はありません
「挿し餌から育てなければ手乗りにならない」ということはありません。挿し餌には、誤嚥、食滞、そのうのやけど、感染、栄養不良などの危険があります。経験のない飼い主さんが、手乗りにする目的で未離乳のヒナを選ぶことはおすすめできません。
成鳥でも手乗りになる?手を怖がる子の慣らし方
成鳥でも、安心できる経験を積み重ねることで人や手への反応が変わる可能性があります。過去に追われた、つかまれた、治療や投薬を受けたなどの経験がある場合は、手に慣れるまで長い時間が必要になることがあります。
- 安心できる段階から始める
ケージ越しに声をかける、近くで静かに過ごす、離れた場所からおやつを見せるなど、手から逃げない距離から始めます。 - おやつを少量だけ活用する
手に近づけた、指に足を掛けた、少し乗れたといった小さな成功を褒めます。おやつを与えすぎず、一日に与える量へ含めて管理しましょう。 - 止まり木での移動を練習する
手を怖がる子には、止まり木へ乗る練習から始めます。止まり木で安全に移動できるだけでも、放鳥後にケージへ戻すときや緊急時に役立ちます。 - 棒の先を目印にする(ターゲット練習)
ターゲット練習とは、安全な棒の先を目印にして、インコさんに自分から移動してもらう練習です。鳥用として安全な、先端の丸い棒をインコさんの少し前に見せます。自分から近づいたり、くちばしで軽く触れたりしたら、すぐに褒めておやつを与えましょう。棒を顔へ押しつけたり、噛ませたまま引っ張ったりしないでください。 - 手袋で追いかけたりつかんだりしない
厚い手袋で追いかけると、手や手袋への恐怖が強くなる場合があります。まずは止まり木を使い、噛まれる状況を避けながら練習しましょう。
怖がっている最中に慣らそうとしない
逃げ回るまで手を近づけ続けると、「手が来ても逃げられない」と学習し、手への恐怖が強くなる可能性があります。小さな不安のサインが出たら、いったん距離を戻しましょう。
手に乗らない・噛む・逃げるときの対処
練習が進まないときは、インコさんができないのではなく、現在の段階が難しすぎる可能性があります。距離、手の位置、ご褒美、練習時間を見直し、一つ前の段階へ戻りましょう。
| おやつを食べない | 怖すぎる可能性があるため、手を遠ざけます。普段から本当に好む物か、満腹ではないかも確認します。 |
|---|---|
| 手から逃げる | 手を近づけすぎているため、逃げずに普段どおり過ごせる距離まで戻します。 |
| 手を噛む | その場で練習を続けず、噛む前の姿勢、手の位置、直前の行動を見直します。 |
| 片足しか乗せない | 片足を成功として褒めます。もう片方の足を押したり持ち上げたりしないようにします。 |
| 手には乗るがすぐ降りる | 手を止まり木のすぐ近くに差し出し、インコさんが手からすぐ止まり木へ戻れるようにします。手に乗ったらすぐに褒め、降りようとしたときは無理に引き止めません。慣れてきたら、手に乗っている時間を少しずつ延ばしましょう。 |
| 止まり木も怖がる | 止まり木を離れた場所へ置き、存在に慣れるところから始めます。見慣れた止まり木を利用する方法もあります。 |
| 急に手を怖がるようになった | 最近つかまれた経験、環境変化、発情、換羽、痛み、体調不良などがないか確認します。 |
噛む行動そのものについては
「インコTIPS:インコさんが噛む理由と対策」 で詳しく紹介しています。
急な変化では健康状態も確認しましょう
以前は手に乗っていたのに急に拒むようになった場合や、食欲、体重、フン、活動量にも変化がある場合は、痛みや病気が隠れている可能性があります。性格の変化と決めつけず、鳥を診られる動物病院へ相談してください。
手乗りインコの育て方でよくある質問
手乗りの練習、手を怖がる場合、ヒナ・成鳥との接し方について、よくある疑問をまとめました。
手乗りインコにするには何から始めればいいですか?
まずは手へ乗せることより、人が近くにいても普段どおりに食べたり休んだりできる状態を目指します。安心できる距離から声をかけ、手を近づけても怖がらない段階になってから、おやつや止まり木を使った練習へ進みましょう。
手を怖がるインコはどうやって慣らしますか?
逃げたり身体を固くしたりしない距離まで手を離し、その距離で普段どおりに過ごせることを確認します。いきなり指へ乗せようとせず、ケージ越しのおやつや慣れた止まり木を使い、小さな成功を積み重ねます。
成鳥でも手乗りになりますか?
成鳥でも、人や手への反応が変わる可能性はあります。ただし、性格や過去の経験によって必要な時間は大きく異なります。日数を目標にせず、その子が安心できる段階から少しずつ進めましょう。
手に乗るまでどのくらいかかりますか?
すぐに慣れる子もいれば、数週間から数か月以上かかる子もいるため、一律の期間は決められません。現在のSTEPで怖がらず、自分から行動できるようになったことを確認してから次へ進むことが大切です。
手を噛むときも手乗り練習を続けていいですか?
噛むまで手を近づけ続けず、噛む前に見られた姿勢や距離、直前の行動を見直します。怖さや不快感が強い可能性があるため、一つ前の段階へ戻し、必要に応じて止まり木を使って練習しましょう。
手乗りにするにはヒナから育てる必要がありますか?
ヒナから育てなければ手乗りにならないわけではありません。手乗りにする目的だけで、さし餌が必要な未離乳のヒナを選ぶ必要はありません。まず安全にお世話できる成長段階を優先し、信頼関係を作る練習を続けましょう。



