鳴くことは自然な行動

インコさんにとって鳴き声は、仲間との連絡、警戒、要求、感情表現などに使われる大切なコミュニケーション手段です。
特に朝や夕方には、野生下でも群れの仲間と鳴き交わす鳥種がいます。飼育下でも、活動を始める時間や休む前に普段より活発に鳴くことがあります。鳴くこと自体をなくすことはできず、すべての大きな声が問題行動というわけではありません。

鳥種や個体によって声量が異なります

インコの仲間には、比較的声が小さい鳥種から、遠くまで届く大きな声で鳴く鳥種までいます。 鳴き声の大きさは、しつけだけで変えられるものではありません。 お迎えする前に、その鳥種が本来持つ声量や鳴き方、鳴きやすい時間帯も確認しておきましょう。

鳴き声の種類と主な理由

同じように聞こえる大きな声でも、鳴いている理由は異なります。声だけで決めつけず、時間帯、姿勢、視線、周囲の状況、鳴く直前の出来事を一緒に確認しましょう。

朝夕の鳴き声 活動開始や就寝前に、仲間の存在を確認するための自然な発声です。
呼び鳴き 姿が見えなくなった飼い主さんや同居鳥の居場所を確認しようとして鳴きます。
警戒鳴き 見慣れない人や物、屋外の鳥、大きな音などを警戒して鳴きます。
要求の鳴き声 食事、放鳥、遊び、飼い主さんからの注目などを求めて鳴きます。
退屈による発声 採食、運動、探索、遊び、社会的な交流などの機会が不足している場合があります。
興奮による発声 家族の会話、音楽、掃除機など、周囲の音や動きに参加するように鳴くことがあります。
恐怖や不安 逃げられない状況、環境の変化、家族や同居鳥の不在などに反応して鳴きます。
発情に伴う発声 季節や生活環境の影響で発情が強くなると、特定の人や物を求めて鳴き続けることがあります。
体調不良 痛み、呼吸器の異常、神経症状などに伴い、普段と異なる声を出したり、急に鳴かなくなったりすることがあります。

急に変わった場合は体調も確認します

鳴き声が増えた理由を、退屈、寂しさ、寝不足だけで判断することはできません。 急に声量や鳴き方が変わった場合は、食欲、体重、フン、呼吸、活動量などにも変化がないか確認しましょう。

鳴く前後を記録しよう

鳴き声への対応を考えるときは、鳴く直前に何があり、鳴いた後に何が起きたかを記録すると、理由や繰り返される条件を見つけやすくなります。
「いつもうるさい」と記録するのではなく、「飼い主が部屋を出ると大声で鳴き、戻って声を掛けると止まる」のように、具体的に記録することがポイントです。

鳴く前 人が部屋を出た、食事の準備を始めた、屋外に鳥が来たなど
鳴き方 短い呼びかけ、警戒声、長く続く大声、普段と異なる声など
身体の様子 姿勢、視線、羽毛、呼吸、食欲、フン、活動量など
鳴いた後 人が戻った、話し掛けた、放鳥した、食事を与えたなど
時間と長さ 何時ごろに始まり、何分くらい続いたか

理由に合わせた対応方法

鳴き声への対応は、呼び鳴き、警戒、要求、体調不良などの理由によって異なります。大声だからと一律に無視せず、最初に安全・健康上の問題がないことを確認してから対応します。

安全と健康を先に確認する

いつもと違う鳴き方をしたときは、しつけや練習を始める前に、インコさんの身体と周囲の状況を確認します。

  • 水や食事がなくなっていないか
  • ケージやおもちゃに挟まっていないか
  • 暑さや寒さの影響を受けていないか
  • 窓の外や室内に怖がっている物がないか
  • けがや呼吸の異常がないか
  • 急に声質や活動量が変わっていないか

鳴いている理由に合わせて対応する

自然な呼び鳴きと、学習によって繰り返されている要求の大声では、適した対応が異なります。次の内容を目安に、その子の様子を観察しながら対応しましょう。

  • 呼び鳴きには短く返事をする
    飼い主さんの居場所を確認する小さな呼び鳴きには、「いるよ」など決まった短い言葉や口笛で返事をする方法があります。返事をするたびに部屋へ戻る必要はありません。大声になる前の穏やかな呼びかけへ早めに応えることがポイントです。
  • 警戒鳴きでは怖がっている原因を確認する
    窓の外の鳥、見慣れない物、来客、掃除機などを確認します。怖がる物を急に近づけず、逃げ込める場所を用意し、落ち着いて見られる距離から少しずつ慣れてもらいましょう。
  • 食事や放鳥を求める場合は生活予定を見直す
    毎日決まった時刻に空腹になったり、放鳥を待ったりして鳴く場合は、大声になってから対応するのではなく、鳴き始める前に食事や運動の予定を組む方法があります。
  • 注目を得るための大声には別の伝え方を教える
    安全・健康上の問題がなく、人を呼ぶための大声が繰り返されている場合は、穏やかな声や決めた呼びかけをしたときに、積極的に返事をしたり近づいたりします。「大声を出さないで」ではなく、「この声なら返事をしてもらえる」という別の方法を教えることが目標です。

完全に静かになるまで待たなくても構いません

長時間鳴き続ける子に、最初から長い沈黙を求めるのは難しいことがあります。 声が一瞬途切れた、少し小さくなった、穏やかな声に変わった瞬間に反応し、少しずつ落ち着いた時間を延ばしていきましょう。

罰を使って黙らせない

大声で叱ると、インコさんにとって「人も一緒に鳴いている」「反応してくれた」と受け取られ、鳴き声が強化される場合があります。恐怖や苦痛を与える対応は、鳴き声だけでなく、噛みつきや人への警戒を悪化させる可能性があります。
以下はやらないように気をつけましょう。

  • 怒鳴り返す
  • ケージを叩く、揺らす
  • 罰として水を掛ける
  • 物を投げる
  • 日中に長時間カバーを掛ける
  • 暗い部屋へ閉じ込める
  • 食事や放鳥を罰として取り上げる

「鳴かないインコさん」にすることが目標ではありません

目標は、自然な鳴き声をなくすことではなく、鳴く理由を理解し、インコさんと家族の双方が暮らしやすい伝え方を増やすことです。 小さな呼びかけや穏やかな鳴き声にも応えながら、大声以外のコミュニケーションを育てていきましょう。

鳴き声が増えにくい生活環境

鳴き声だけへ対応するのではなく、採食、運動、探索、遊び、休息、社会的な交流の機会を日頃から整えることも大切です。生活環境を見直すことで、退屈や不安に伴う鳴き声が減る場合があります。

  • 身体を動かす機会を作る
    安全な範囲で飛ぶ、歩く、登るなど、その子の体調や運動能力に合った活動を取り入れます。
  • 食べ物を探す時間を作る
    食べ物を探して取り出すフォージングを取り入れ、採食に使う時間を増やします。食事量が増えすぎないよう、一日の給与量の範囲で行いましょう。
  • 遊びやトレーニングを取り入れる
    かじって壊せる安全なおもちゃや短時間のトレーニングなど、頭と身体を使う活動を用意します。新しい物を怖がる場合は、離れた場所から少しずつ見慣れてもらいます。
  • 休息と睡眠の環境を整える
    毎日、暗く静かに休める時間を確保します。人の出入りやテレビの音が夜遅くまで続く場所では、十分に休めないことがあります。
  • ケージの位置を見直す
    常に人の姿が見えず孤立しすぎる場所、窓の外の鳥や車へ警戒し続ける場所、テレビやスピーカーのすぐ近く、人の出入りが多く休めない場所は避けます。家族の気配を感じながらも、落ち着いて休める位置を選びましょう。
  • 穏やかな交流を毎日の生活に取り入れる
    大声を出したときだけ近づくのではなく、静かに過ごしているときや穏やかな声を出したときにも、声を掛けたり一緒に遊んだりします。

病院へ相談したい声の変化

鳴き声や声質の急な変化は、痛みや呼吸器の異常などに伴って現れることがあります。普段と異なる声に身体の変化が伴う場合は、鳴き声を減らす練習を行わず、鳥を診られる動物病院へ相談してください。

早めに相談したい変化 声がかすれる、鳴きにくそうにする、急に鳴かなくなる、今まで聞いたことのない声を出すなど
一緒に確認する症状 食欲低下、体重減少、フンの変化、元気がない、羽を膨らませている、眠る時間が増えたなど
呼吸器の症状 くしゃみ、鼻水、呼吸音、声質の変化、安静時にも呼吸に合わせて尾が大きく上下するなど
緊急性が高い状態 安静時に口を開けて呼吸する、明らかに呼吸が苦しそう、止まり木に止まれない、ぐったりしているなど

呼吸が苦しそうなときは早急に相談します

安静にしているのに口を開けて呼吸する、呼吸に合わせて尾を大きく上下させる、呼吸音が聞こえる、止まり木に止まれない場合は、呼吸状態が悪化している可能性があります。 インコさんを追い回したり長時間保定したりせず、できるだけ早く鳥を診られる動物病院へ連絡してください。